X68系同人サークル「X-PowerStation」製作・販売の拡張ボード「ネレイド」のLANインタフェースを利用します。

LANインタフェース


 ネレイドには、LAN接続用のイーサネットコネクタ RJ45(10BASE-T) および、NE2000互換の制御チップ RTL8019AS、通称「かに」チップが載っています。コネクタの周辺のLEDは、
 ・オレンジ・・・イーサネットのハブ接続で点灯
 ・グリーン・・・イーサネットの受信で点滅
 ・レッド ・・・イーサネットの送信で点滅
のように、それぞれの動作を示します。インタフェース制御部分は、同人ネットワーク拡張ボード Neptune-X とソフトウェア的に互換がとれるよう設計されているそうです。





ドライバソフト

 以下は、ネレイドのボードに添付されていたイーサネット、TCP/IP関連のドライバソフトです。イーサネットのドライバ ether_ne.sys は Shi-MADさん制作で、Neptune-Xで使われたもの、TCP/IP関連のドライバは、(株)計測技研が発売したEthernet Starter Pack for X680x0(略称 ESP/X)向けに開発されたもので、K.Shirakata さん制作の xip.x 以外は 無償配布パッケージ TCPPACKA に含まれています。

ether_ne.sys  イーサネットのドライバ  
xip.xTCP/IPのドライバ -n数値でスピードを指定(2~31)
arp.xアドレス参照テーブルを表示,修正
ftp.xARPANET標準ファイル転送のユーザーインタフェース
ifconfig.xネットワークインタフェースのパラメータ設定
inetd.xHuman68kでTCP/IPをサポートする常駐モジュール
inetdconf.xinetd にデフォルトルータ,ドメインネームサーバ等を設定
netstat.xネットワーク状況の表示
ping.xICMPによるエコーリクエストパケットの送出
telnet.xTELNETプロトコルのユーザーインタフェース
hostshost name data base
networksnetwork name data base
protocolsprotocol name data base
servicesservice name data base


設定調整

 以下は、上記を使って、CONFIG.SYS、AUTOEXEC.BATに追加する記述例です。基板付属のサンプルディスクの記述に沿って編集し、再起動させました。

config.sys
process = 3 10 10    ・・・並行処理を可能とする(プログラム数3、実行間隔レベル10、タイムスライス10ms)
DEVICE =\sys\ether_ne.sys    ・・・イーサネットのドライバの組み込み

AUTOEXEC.BAT
xip -n2  ・・・TCP/IPドライバ常駐 スピード最遅
ifconfig lp0 up
ifconfig en0 192.168.1.68 netmask 255.255.255.0 up ・・・IPアドレス、サブネットマスクの設定

inetdconf +domain x68k.net +dns 192.168.1.2 +routor 192.168.1.2 ・・・ドメイン名、DNSサーバやルータ(ゲートウェイ)の設定



動作試験

 コネクタにイーサネットケーブルを接続し、さっそくpingコマンドによるルータまでの導通試験を行いました。左の写真はその様子です。ICMPパケットを送ってエコー到着までの時間を繰り返し表示していますので、「CTRL」+「C」で中断をさせたところです。

 エコー到着時間の最小、平均、最大が表示されるところがおもしろいです。


ウェブ閲覧

 インターネット用アプリケーションとして、メーラーやブラウザなど多くのフリーウェアが公開されています。そのひとつ、Mitsukyさん制作のWebXPressionをダウンロードし、試してみました。パスの通ったディレクトリに WebXpression.x / WebXpression.cnf / AddressBook.htm をコピーし、また、JPEG表示を行うソフトJPEGED.R(Mitsukyさんのパッチが入ったもの)も同じディレクトリに入れておきます。コマンドラインから、環境変数 WEBCACHE にダウンロードしたファイルを保存するディレクトリ名を 設定し、当サイトをさっそくブラウズしてみました。

     set WEBCACHE=A:\WEBCACHE\
     WebXPression http://x68.aikotoba.jp

 レイアウトが少しくずれてはいますが、もともと解像度や表示できる色数が多くない中で、けっこう頑張って表示しています。12ドットフォントを組み込むと、さらにきれいに表示するそうですが、FONT組み込みソフト hfont.rやフォントデータがまだ見つからないため、さらなる検証は追って行います。


おわりに

 ネレイドを入手してからずいぶんになります。4万円近かったボード、今ならその値段でノートパソコンが買えてしまいますが、当時は、USB+ネットワークでX68000の夢がさらに広がることを期待して購入しました(ネット注文)。そのボードをX68030に装着しpingテストをしたところまでは進みましたが、そこで研究は頓挫しました。ネックはブラウザ等のフリーソフトを入手してもX68にインストールするいい手段がなかったこと、CD-ROMドライブはあっても、それをサポートするフリーウェアのドライバがなかったことでした。1年ほど前、番外編で紹介したPCカードリーダを中古で購入したときについていたメディアでやっとそれ(SUSIE.X)を入手したのが、改造シリーズを手がける契機ともなりました。

 さて、今回は、Windows機でダウンロードしたソフトをCD-RWに焼き、内蔵したDVDドライブから読み込ませることで、始めてウェブブラウザを試すことができました。実用性は別として、20年以上前の機械でここまでできたということが重要で、メーカーのSHARPがサポートしなかったネットワーク(当時はインターネットという言葉すら聞かなかった)が、その後、サードパーティや多くのユーザによってサポートされ、現在に至っている状況にとても感激しています。こんな例はほかにあまりないでしょう。私の稚拙なサイトがさらに少しでもX68の文化伝承に役立てば幸いです。では、また・・・


改造にあたり、とても参考になったサイト

Neptune-X Home Page