CAN(Controller Area Network)はECUなど多くの車載デバイス間で通信を行うためのライン構造(ラインにノードがぶらさがる形式)のネットワークで、クラウンクラスになると100個以上のデバイス(CPU)がノードとして繋がっているそうである。CANでは各ノードは平等なバスアクセスができ、優先順位を考慮したCSMA/CA方式で衝突回避を行う。通信はノードのIDを用いるメッセージ・アドレッシングを用いている。以下は通信フォーマットの例である。


ウィキペディアより引用

1 ステアリング連動バックガイド線表示ユニット
 現在のトヨタ純正カーナビにはCANの接続端子があって、CANを通してECUの状態を確認してエコ度を計測・グラフ表示したり、CANで得たステアリングの回転角からバック時のガイド線をリアカメラ画像に描いたりしている。NR-MZ200にはCANの接続端子はないが、前のカーナビから使っているアルパインのCAN接続のユニット SGS-Y200NR-PR2  を使って、ガイド線付きリアカメラ画像を表示させている。


アルパイン SGS-Y200NR-PR2
(50プリウス専用)

接続図(納車前にディーラーにて工事)



ステアリング連動バックガイド線描画 (アルパインサイトより引用)


2 OBD2モニタ

OBD2コネクタ
 CANに臨時に装置をつなぐためにOBD2コネクタというものがある。本来はディーラーなどによる車両のメンテナンス用で、50プリウスでは運転席の右側下にある。OBD2コネクタ接続対応機器はサードパーティから多く販売されており、自動ドアロック装置やレーダー探知機などがある。

 実は50プリウスは当初OBD2コネクタのユーザの使用を禁止していた。詳細はよくわからないが、セイフティセンスなどの機能に支障が出るとのことで、レーダー探知機などが接続できないとされていた。


OBD2接続アダプタ

 レーダ探知機をOBD2コネクタに接続する際に用いる。ユピテルからはハブリッド車用として、OBD-HVTMという製品があったが、50プリウスは非対応であった。50プリウスが世に出て半年後、ユピテルが同社のレーダー探知機接続用として新たに販売したのがこちらのアダプタ、50プリウスへの対応が実現したOBD12-MⅢである。詳しい資料はこちら。これで安心してレーダ探知機が接続できる。

 

GWR830sd パッケージ
 対応アダプタが販売されたのをきっかけに、私はさっそくレーダー探知機を買い求めた。ユピテルの GWR830sd である。目的は本来のレーダー探知でなく、エンジン回転数などのECU情報の表示である。

 この機種を選んだのはひとえにディスプレイの大きさである。レーダー探知機はオンダッシュに設置しても視線を妨げないようにするためかどれも画面が小さく大きくても4インチ止まり。GWR830sdは4.3インチで、ユピテルやコムテックなど他メーカーを含めてもこの大きさのものは後にも先にもこれしかない。プリウスが納車された頃にはすでに製造中止になっていて、なんとか1年保証のある新品を通販で見つけてゲットした。





GWR830sdによるOBDモニタ
 GWR830sdの設置場所はステアリングコラムカバーの上とした。プリウスは20型よりセンターメータ方式をとっており、ステアリングの上半分の円弧内には単なるパネルがあるだけでメータ類がないので、こういった小物ディスプレイを設置するには都合がよい。ちなみに左写真のGWR830sdの後ろに見えてるのはHUDである。HUDのパネルをきれいに隠してくれている。

 設置後は画面をOBD情報のモニタにし、私はいつもハイブリッドバッテリの電圧や電流、エンジン回転数を表示させている。このほか、OBDアダプタの対応表によれば、
・車速、エンジン回転数
・エンジン負荷、スロットル開度
・冷却水温度、燃費、燃料流量
・ブースト計、インマニ計
・システムパワー、Frモータパワー
・Rrモータパワー、Rrトルク配分比
・HVバッテリ電流、HVバッテリ電圧、補機バッテリ電圧
・HV全電池容量、エンジンパワー、昇圧後電圧
・アクセル開度、エアコン消費電力、ジェネレータ発電量
を数値やメータ図柄で表示できるとされているが、なぜか実際には一番知りたい補機バッテリの電圧値が表示されなかった。GWR830sdの不具合だろうか、とても残念である。

その他の画面


VIEW選択

OBDデータ

前後傾斜角

加速度



エコ情報

受信GPS衛星

月齢と潮の満ち引き

SDカード内静止画




 OBD2アダプタの暗電流対策

 使用しているOBD2アダプタはクルマがOFFでもわずかだが電源であるバッテリから電流が流れている。いわゆる暗電流である。OBD2コネクタにアダプタを接続したまま長期間エンジンをかけないままにしておくと補機バッテリが上がる可能性があるので注意する必要があり、ここで実際にその電流の値を測定してみることにした。

 OBD12-MⅢ ではコネクタの16番ピンのバッテリ端子から低背フューズを通して回路へ電流が流れている。そこで、低背タイプフューズを自動車用品店で購入し、フューズ部分をマイナスドライバで掻き出した後に両端子にリード線をハンダ付けし、これを元のフューズと交換してリード線にテスターを接続した。




OBD2アダプタ低背端子の加工(ヒューズ抜き)テスターを接続


10mAレンジ
 左が電流10mAレンジでの測定の様子である。約4mAの電流が流れていて、そして5秒程度ごとに一瞬のメータ振り切れ(レンジを上げて確認すると20mA程度まで上がっている)を繰り返していることがわかった。

 この状態がクルマのオフ状態で続いているわけで、やはりバッテリーにはよくないので、アクセサリ電源オンで起動するよう接続方法を工夫した。下図のように、クルマのフューズボックス(低背型)から電源をとる管ヒューズホルダ付きケーブルを調達し、例のごとくドライバで低背端子間のフューズを掻き出して取り出した。



フューズ付き電源ケーブル低背端子間フューズの取り出し



OBD2コネクタへ
 そして、低背型端子をアダプタに差し込む。ここで低背端子の向きに注意。先の実験で電流計のマイナス側を接続した方に電源ケーブルをハンダ付けしてある端子がつながるように差し込む。そして、管フューズを通してケーブルを延長し、カーナビのアクセサリ電源コードの分岐部分に接続した。結果、これまではアクセルオンから数秒だったレーダ探知機の起動が10秒ほどかかるようにはなったが、これで安心である。