X68系同人サークル「X-PowerStation」製作・販売の拡張ボード「ネレイド」を利用して、RAMをEXPERT標準の2MBから12MBまで拡張しました。

Nereid


 ネレイドはX68000シリーズに熱き想いを未だ絶やさぬ同人サークルから生まれたハードウェア、16MBのDRAMとイーサネット、USBインタフェースを備えた拡張ボードです。ボード上には、RAMのLSI 2個とLANコントローラのRTL8019、制御信号生成のためのCPLD(Lattice ispLSI2128)などのチップが載っています。

 ネレイドは、これまで、ある程度注文が集まるごとに再生産され、そのたびに基板の色が変更されてきており、最新の基板は白色のようですが、私が購入したのが5年以上前なので、青色です。購入当時はメモリフル実装のX68030で使用していましたので、RAM部分はRAMディスクとして使用するほかなかったのですが、EXPERTに移動し、16MBのうちの10MBを増設RAMに設定しました。実はネレイドには、RAMなし版もあったのですが、購入当時はあまり考えず、高い方のRAMあり版を購入していて、今回やっとそのRAMが役に立ってくれました。


メモリマップとDIPスイッチによる設定


 X68000のメモリ空間はアドレス$000000~$FFFFFFまでの16MBで、EXPERTでは、左図のように、RAMは標準では$000000~$1FFFFFの範囲の2MB分が実装されています。メモリの拡張は、$200000~$BFFFFFの間で行うことになり、標準実装と合わせて最大12MBまでのRAMを持つことができます。最近のWindows機などは12GBくらいRAMを持つことも珍しくなくなり、1桁どころか3桁、1000倍の開きがあり、まさに隔世の感があります。

 ネレイドは、16MBのDRAMを持っているので、12-2=10MBの最大拡張を余裕で行うことができます。実際にどれほど拡張に使うのかや拡張メモリの先頭アドレスは、基板上に実装されているDIPスイッチで設定することができます。以下はその設定の様子で、16MB(実際には10MB)を$200000より配置しました。
拡張に使用するメモリの量メモリ拡張開始アドレス
メモリの量SW1SW2
使用しないOFFOFF
4MBOFFON
8MBONOFF
16MBONON

開始アドレスSW3SW4SW5
使用しないOFFOFFOFF
$200000OFFOFFON
$400000OFFONOFF
$600000OFFONON
$800000ONOFFOFF
$A00000ONOFFON
$100000ONONON

 なお、X68000では、メモリ拡張はWindows機のように起動時に自動認識されません。SRAM情報を書き換えて、具体的には、SWITCHコマンドでRAM領域を12288(12MB)にセットして、再起動することで有効になります。


バンクメモリ

 ネレイドの拡張に使用しなかったメモリは、I/Oエリアの一角の64kBをウィンドウとしたバンクメモリとして活用できます。これの設定もDIPスイッチで行えます。以下がその設定情報です。

ウィンドウアドレス設定I/Oアドレス、割込ベクタ設定バンクメモリ有効設定
SW6
$EE0000OFF
$EF0000ON
SW7
$ECE3xx,$F9,$FBOFF
$ECEBxx,$F8,$FAON
SW8
無効OFF
有効ON

 上記ピンクの状態に設定することで、余ったメモリのうち、4MBを設定したI/Oのデータで切り替えて使えるバンクメモリとすることができました。


RAMディスク

 さて、バンクメモリの有効な使い道として、これをRAMディスクにするドライバが拡張ボードに添付されていましたので、利用してみました。また、FDDが冗長になっているドライブレターを整理するため、DRIVE.Xを利用して、このRAMディスクのドライブレターを変更しました。以下が、CONFIG.SYSの追加設定とドライブ構成の変更の様子です。

CONFIG.SYS への追加記述と組み込み時メッセージ   DRIVE.Xによるドライブ変更(CF起動時)
DEVICE = KRAMDne.sys #IB

KRAMD version 1.00 1996 by M.Kamada
      modified +03 2002 by akuzo/Lac.
バンクメモリを使用します
$00ECE3F0 : ページ切り替えアドレス
$00400000 : バンク全容量(バイト単位)
$00EE0000 : ページメモリ先頭アドレス
RAMディスク E: $00EE0000~$00EEFFFF  4096kB/16ページを初期化しました           
DRIVE E: C:

ドライブ変更前変更後
CFドライブA:A:
FDD0B:B:
FDD1C:-
DVDドライブD:D:
RAMディスクE:C:





改造にあたり、とても参考になったサイト

X-PowerStation X68系同人サークル